Picture story book(絵話) ボロット 第十四話
★第十四話★
ムサシ、ユカちゃん、ボロット。
三人でとある場所に来た。
そこは
「星の見える丘」
今日も星が綺麗だ。
ここは、ムサシが結婚し、ユカちゃんが生まれてから、家族で初めて行った思い出の場所。
ユカちゃんの記憶にはおそらく残っていないだろう。
でも、ユカちゃんはここに来るとお母さんも一緒にいるような気分になるから好きと言っていた。
もうボロットはほとんど動かない。
ギイギイ音を立てて小刻みに揺れているだけである。
ユカちゃんが泣きそうな顔でボロットを見つめる。
その時、一瞬ではあるがボロットに変化が起きた。
ボロットの目が一瞬、オレンジ色に光ったのである。
ムサシは、ボロットが何か伝えようとしているんじゃないかと感じた。
ユカちゃんは必死に問いかけた。
「何か言いたいの?ねえ、ボロット何を言いたいの?」
更に続けた。
「私、もう泣かないから。泣くとボロット悲しむもんね。だからもう泣かない。ねえ見て・・・ほら泣いてないでしょ?」
目から溢れそうになる涙を必死に堪え、ユカちゃんは笑顔でボロットに語りかけた。
・・リ・・・ウ・・ガーーーーーーーブツ。
ついに最後の瞬間が訪れた。
機械音が流れた後、ボロットは動かなくなった。
静けさがムサシとユカちゃんを包み込んだ。
ユカちゃんはボロットにそっと寄り添い、ギュッと抱きしめた。
「最後は笑顔でボロットを見送ることが出来て良かった。」
ユカちゃんはもう泣いていなかった。
だって・・・もう泣かないってボロットと約束したから。