Picture story book(絵話) ボロット 第十五話
★第十五話★
ムサシには、ずっと心に引っかかっていることがあった。
何故あの時、
ボロットはユカちゃんをトラックから守ったのだろう。
そんな機能をつけた覚えもないし、プログラムも入っていなかったはずなのに。
その謎は解けないまま、ボロットは停止してしまった。
やがて、ムサシはあることを思い出した。
ボロットは元々長く動くことが出来ないとわかっていたムサシは、ある機能をボロットに付け加えていた。
ボロットの言語プログラム。
それを三つだけ保存するメモリー機能を取り付けていたのである。
(三つたまったら、また新たに書き換えられる)
ボロット自身に意思があるわけではないので、その時に合った言葉は記録されていないかもしれない。
それでも、最後にボロットが残した言葉は何だったのか知りたかった。
ムサシは確認した。
そこには、ボロットが最後伝えようとしていた想いが記録されていた。
それを見てムサシは驚き、急いでユカちゃんを呼びに行った。
ムサシはユカちゃんと一緒に、改めて確認した。
ムサシサン
ユカチャン
アリガトウ
ムサシとユカちゃんはお互いの顔を見合わせ、一斉に泣き出した。
もう泣かないって決めていたのに。
ムサシは思った。
言語プログラムなんかなくても、ボロットには最初から意思が備わっていたんじゃないかと。
ユカちゃんを助けたのは、
決して偶然ではなかったのだ。
ボロット、こちらこそありがとう。
本当に、
出会えて良かったよ。